本が間違っている?と思わせる構成
変わった構成で作られた小説の一つとしてご紹介したいのが「アイコレクター」というフィツェック・セバスチャンというドイツの作家さんが書いた小説です。
著者はドイツでは有名なベストセラーを記録している有名作家で、治療島やラジオ・キラーなどの話題になった作品を数多く輩出しています。
本作は通常の書籍とは異なる構成になっているため、ひょっとしたら製本の際に間違いがあったのではないかと思えてきます。
これは本の内容に通じることなので、決して製本が間違っていたわけではありません。
参考:アイコレクター
編集部からの注意書き
本を手に取ると、編集部からの注意書きとして、この本は章立てとノンブルが逆になっていると記載されています。
ちなみにノンブルとは本のページ数を示す数字のことです。
通常の本なら表紙から見て1ページ、2ページ…と進んでいくものですが、この本に関しては表紙を開くといきなりエピローグつまり小説の終わり部分から始まって、最後の405ページからノンブルが開始されていくという仕様になっています。
思わず表紙と裏表紙が逆なのかな?と思えてきて、本を読んでいないうちから出版社に製本が間違っているとクレームを入れたくなってしまいますが、実はこれがこの本の大きな狙いになっています。
物語も時系列が逆になっているというものではないので、通常の本と同じように読み進めていきましょう。
最後まで読み終えた時に、このような珍しい構成になっている理由が見えてくるはずです。
あらすじ
物語の中心になるのは、ベルリンの誰もが震撼するような連続殺人事件です。
まず子供を誘拐して母親を殺害、犯人が設定した制限時間内に父親が探しだすことに成功しなければ子供も殺害するという連続殺人事件が発生していました。
しかも、殺害された子供の目がえぐり取られた状態になっていたことから、犯人のことをアイコレクター・目の収集人と呼んでいました。
元はベルリン警察で勤務していた主人公のツォルバッハは交渉人としいう役割がありました。
交渉人として勤務していた際に犯人の女性をやむを得なく殺害してしまったことを悔やみ警察を辞めて新聞記者に転身していました。
そんな主人公の前にアイコレクターが現れて、罠にかかって容疑者に仕立てあげられてしまいます。
透視能力がある盲目の女性に助けられて調査を進めて、新たな犠牲者になりかけている子供を救おうと奮闘しますが、更に主人公とアイコレクターの繋がりが明らかになってきてハラハラする展開が待ち受けています。
物語の結末がどうなったのかを想像してみると、エピローグで語られている暗い印象が結末を物語っているような気がします。
物語の前半はわけのわからないうちに進行していくような印象を受けますが、後半になるにつれて時間を忘れるほど夢中になるはずです。